母の思い込みはもう変えられないけど

人の心理

母の思い込みはもう変えられないけど   1月8日

 

最近は母からの電話が

かなり頻繁にかかってくるが

「ああ、よかった」

「声が聞けてほっとした」

「電話がつながってよかった」

これはいつも言うこと。

 

耳も遠くなってきているので

会話はほぼ成立しない。

母が一方的に「頼み事」を話すだけで

それに対しての私の話は

ほとんど聞いていない、聞こうとしない。

最後は

「お願いね」「頼んだわね」

「よろしく、迷惑かけてすまないね」

たまに電話にすぐ出られない時は

留守電に繰り返し「お願いね」

何度も何度も、最後は

蚊の鳴くようなか細い声で。

 

「もっと広い部屋がお願いしてあるはず」

「今の部屋は調整室(?)だから」

「家の人が頼まないと部屋を変えてもらえない」

「早く自分の部屋に変えてもらって頂戴」

 

最近の母のお願いだが

ホームの部屋は広さは決まっているので

病院のような特別室はない。

夫婦用の少し広い部屋はあるが

個人の部屋は間取りも左右対象のことはあっても

どの部屋も特に変わっていない、はず。

 

 

最初はまともに説明していたけど

聞いていないのか忘れるのか

ちょっと前のことも忘れるくらい

認知症の症状が進んできたので

忘れてしまうとも思われる。

 

 

何度も同じことを言うのは

不安を訴えていることでもあるので

正しいことを言っても解消されない。

説明をやめてこう言ってみた。

「広い部屋を申し込んであるのだけど

希望する人が多いので順番待ちなの。

すぐには替われないけど

申し込んであるからね」

を言いました。

 

 

欲求を聞いてもらえて安心したのか

その後「部屋」のことは言わなくなった。

「そんなはずはない、もっと広い部屋を頼んだ」

そう思い込んでいる母には

「違う」と言っても通用しない。

最も忘れればまた同じことは繰り返されるが

順番待ち、当分これで暫くいくしかない。

 

 

「薬を飲んだフリしてポケットに入れるんです」

今度はホームからの電話。

導眠剤なら飲まなくてちょうどいい、と思ったが

「飲まないのは頻尿を改善するお薬」とのこと

「自分でトイレ」を固く決めている母は

最近トイレの補助を頼む頻度が

10分おきくらいになり

食事中でもいつでも

「お願いします」と。

残尿感がある、トイレに行ったことを忘れる

原因は考えられても

トイレを頼まれればスタッフの方は

断るわけにはいかず・・・

困ってみえることは確かです。

訪問回診の時にドクターと相談することになり

錠剤から粉末に変えて

水に溶かして飲んでもらうことになるかもしれないと。

これは現場の方の意見を聞いて

お任せすることにした。

 

昨日は「濡れティッシュお願い」

今日は「赤鉛筆、鉛筆」「マスク」

赤鉛筆はなんで?と思ったけど

「スタッフの人が持って言って返してくれない」

そんなことはないと思うけど

時々を言うこともあるから

不安が減るアイテムならば

喜んで持っていくとしましょう。

 

 

先日娘と4年生の孫も一緒に

母の部屋にある不用品と思われるものを

引き取りに行った。

車椅子、ポータブルトイレが置かれ

椅子2脚、丸い花台が邪魔になり

ホームから片付けて欲しいと連絡があったから

娘が車が大きい方がいいからと

一緒に来てくれたが

部屋には一人しか入れないので

私が小さな台車を借りて母の部屋へ行った。

 

「すみません布団をかけてください」

スタッフの方と思ったらしく

ベッドに寝た母の声

私と分かると

「きてくれたの、ありがとう」

部屋は順番待ちとまた嘘を言い

母は納得したようで

「順番なら仕方ないわね」

嘘はいけないが優しい嘘もある、と

私は思っている。

思い込みが変えられないなら

そのためのストーリーを考える

認知症の母には

その方が不安が減ると思えたから。

 

 

帰りに和菓子屋へ寄って

お礼を兼ねて娘と息子家族へのおやつを。

車でずっと待っていてくれて

ありがとう。

 

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