11月29日
母が大腿骨を骨折して
翌日行われる予定だった手術を拒否
厳密にはまだ完全に折れたわけではないが
診断は骨折とされ
ボルトで固定すると説明された。
以前反対側、左の大腿骨を骨折して
手術を受けた大学病院で
前日には同意していたにもかかわらず
当日の朝になって
母は頑なに手術を拒んだ。
本人は
前回の手術の後のリハビリが二ヶ月以上
とても辛かったことがトラウマとなっており
もうあんな思いはしたくないと訴えた。
医師も「明確な本人の意思」と受け止め
手術は中止となった。
痛みが引くには個人差はあるが
動かさないで対処療法ということも
選択肢としてはあるということで
GICUから一般病棟に移され
5日後の連休明けに退院となった。
「早くホームに戻りたい」
母の不安は「環境が大きく変わること」
以前リハビリ病院でも
深夜目が覚めて
カーテンで仕切られた無機質な空間で
自分の置かれた状況が
すぐ認識できなかったことが一因なのか
認知症が一気に進んだことがある。
毎日様子を見に行っていたら
少しずつ冷静さは取り戻せたが
不安、恐怖を感じると
先が見えない状況だと感じて
環境が変わったことを受け入れられなくなる。
いつも使っていたもの
お気に入りのもの
慣れ親しんだものに触れることで
少しずつ記憶は改善されたが
新しい環境に適応することは
歳を重ねるに従って難しいことだと
痛感しました。
若い頃は体力も気力もあり
回復も早いので
病気や怪我で入院しても
先のこと、未来のことを
イメージして頑張れるけど
94才の母にとっては
歩行器に頼って歩いていた現在の生活が
どう改善されるかというイメージは
できなかったとしても仕方がない。
よくなっても車椅子での生活
医師も触れられたが
筋肉がすっかり落ちてしまった体
日ごろの生活習慣から考えても
これから劇的に回復を期待することは
本人でなくてもわかること。
ストレッチャーに寝かせられたまま
介護タクシーでホームに戻った母
暫くは寝たままの状態かと心配したが
ホームに着いたら車椅子に座って
遅れて到着した私を待っていた。
座っていられるとは嬉しい誤算
自室に戻った母は
ゆっくり部屋を見回して
「ああ、嬉しい。自分の部屋が落ち着くわ」と
ニコニコしていた。
ひ孫の写真、折り紙、メッセージカード
どれも母にとって
慣れ親しんだもの、居心地の良い環境
それを変えることで
母の心理状態がどうなるか
最善の治療だと思えることも
本人にとってはそうではないこともあると
改めて感じたことです。
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