ちょうど6年前 3月27日。
「俺の愛車で迎え頼む」。
週に2~3度は外出許可を貰って、
自宅で過ごしていた。
桜の咲く今頃、
途中、川沿いを走って桜見物。
できるだけゆっくり、
桜を見ながらの会話。
「あと何回、桜が見られるかなあ」
唐突に夫が言った。
「変なこと言わないでよ。来年も来ましょう」
入院してすぐ、
「今後口からの飲食は諦めてください。」
水すら飲み込めない状態、
本人は勿論、ショックだった。
夜、娘と抱き合って泣いた。
点滴栄養で命を保っていた。
本人は何かを感じていたのかもしれない。
何度も通ったこの道、
何回桜を見ただろう。
それすら覚えていない。
それから一ヶ月経たずに、
「余命三ヶ月」の告知。
本当に最後のお花見となってしまった。
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