本当にいるものかしら 10月29日
いつものように決まりの挨拶から始まり
電話した理由を話し始める
まるで台本のようにスタートする母からの電話
やっぱりワカモトがいるから
ついでの時でいいから買ってきてちょうだい
整腸剤で私も子供の頃飲まされていた
独特の匂い、でも正露丸よりマシ
2年前にワカモト持って行ったあと
クリニックから薬を処方してもらい
毎日服用しているから
もう必要ないのかと思っていた。
その頃自分で下剤をたくさん飲みすぎて
医師から注意されたこともあった。
急に欲しいということだったけど
午後から果物を持って行ってみた。
引き出しを開けたらまだワカモトはある
1週間分くらいはあったようだが
日頃飲んでいるようには思えなかった。
処方してもらった薬を毎日飲んでいるから
勝手に飲んではいけないこと
飲むなら整腸剤の薬を飲まないこと
看護師さんにそのことを言っておくこと
わかるように説明をしたけど
「自分で管理できるから」
頑として聞かない。
多分無茶はしないだろうと思うが
それでも私のいうことは聞かないことが多い。
下剤より影響は少ないと思って
仕方なく一応置いてきた。
ホームに来てしばらくは
「生野菜を食べられなくなったから便秘になった」
顔を見るたびに訴えられたが
全く動かなくなったせいもある。
それまでのような家事をしなくなり
狭い部屋の中でじっとしている時間が多く
散歩に出かけるわけでもないから
圧倒的に運動不足になる。
腸の働きが悪くなっても仕方ない。
「毎日部屋の中でたくさん歩いている」
必ずそう言って反論するが
足腰の筋肉は
目に見えて衰えて来た。
2度の骨折
それでも寝たきりにならず
杖はいるが歩ける。
自分でトイレに行きたい
その一心でリハビリも頑張った
ありがたいことだと思っている
ただ自分の考えを変えないので
もう少しこうしたらということは
一切聞く耳を持たない。
最近大して必要と思えないものを
電話で「買って来て」と言ってくるのは
単に自分にもっと関心を持って欲しい
そんな想いがあるのかもしれない。
着替えを忘れていることがあるので
必ず週2回は行っているが
もっと来て欲しいということかもしれない。
帰ってすぐの電話が
「ヘアークリームがなくなった」
一度化粧乳液だと思うと
何度これは髪に使うものと言っても
脳が記憶していないようで
何度も同じことを言ってくる。
電話したことすら覚えていない
最後まで話を聞いて
「洗面の鏡の前に置いてあるよ」
と伝えると
「あら、乳液だと思っていたわ」
これまた同じ返事が返ってくる。
どこかに不安があるのだろう
部屋からあまり出たがらず
本を読むかテレビを見るか
思考をやめてしまった状態
ゲームのようなものを持っていったこともあるが
興味のないことは見向きもしない。
習字の時間に声をかけてもらっても
「行きたくない」即答で断る。
不安と不満
そんな心理状態ではないだろうか。
昨日飛行機を見にいったこと
孫たちが走り回っていたこと
娘が寒くてくしゃみと鼻水が止まらず
昨夜熱と頭痛がして
今日は仕事を休んだこと
母が「風邪ひいたのね、可哀想に」
娘を気遣った。
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